ガラスは私たちの生活の中にいつも当たり前のように存在していますが、どのような構造のものなのか理解されている方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。頑丈で透明感がありながら、衝撃を加えると意外と簡単に割れてしまう不思議なものです。そこで今回はガラスとはなにかということと、その構造についてご紹介します。
ガラスの歴史
ガラスが使われ始めたのは、紀元前数千年前からと言われています。現在の人工的に作られたものとは違う、天然ガラスである黒曜石が刃物や矢じりとして使用されていたのです。
その後紀元前1600年頃になると、人類はガラスを人工的に作るようになりました。しかし、現在とは製法が異なっており、現在主流となっている宙吹きという工法によって作られ始めたのは1世紀頃です。
ガラスを作る上で欠かせないのが、高温の溶解炉のような設備です。調合した原材料を溶解することでガラスが出来上がるため、その設備がなければガラスを作れません。そのため、あまり設備が整っていない状態であるその当時は、ガラスは非常に貴重なものとして扱われていたのでした。いまのように容器などに使用されることはなく、装飾品や工芸品のようなものに主に使用されていたのです。
その後、坩堝(るつぼ)という物質を溶解させる際に活用できる容器が誕生したことによって、ガラスは進化を遂げます。これまで主流であった宙吹き工法に加えて、プレスや延伸などの工法が使えるようになったため、ガラスの形状もさまざまなタイプが作られるようになったのです。
現代においては機械の進化によってガラスの製造が簡単に行えるようになりました。また、板ガラスが普及したことによって、生活の中に当たり前のようにガラスが存在するようになったのです。
ガラスとは
紀元前からの歴史を持つガラスですが、そもそもどういったものなのか正確に答えられる人はほとんどいないのではないでしょうか。突然ガラスとは何かと尋ねられても大半の方が困ってしまうでしょう。
実際のところ、ガラス自体は古くから使用してきているにもかかわらず、その本質について知られることになったのは今世紀に入ってからでした。容器になるものですので当然固体になるわけですが、同じく固体である金属などとは構造がまったく異なっています。具体的には結晶状態か否かという点が大きく異なっているのです。金属をはじめとする他の固体は結晶質ですが、ガラスは非晶質です。
結晶質ですと、液体が冷却され温度が下がっていく過程において原子の構造が規則正しく配列されていき、最終的に固体状態では平衡状態となります。ところが、ガラスのように液体の粘度が高い場合には、原子が規則正しく配列されていくスピードを温度の低下が上回ってしまうことにより間に合わず、ランダムな構造になってしまうのです。
ガラスの特徴
他の個体と異なる原子配列であるガラスには、ガラスにしかない特徴がいくつも備わっています。そのことが現代に至るまでガラスが重宝されてきた理由とも言えるでしょう。代表的な特徴としては以下の4つが挙げられます。
透明
物質が透明であるということには「可視光を吸収しない」、そして「可視光を散乱しない」という条件が求められます。ガラスはSiO2などの主成分により可視光を吸収することはありません。また、可視光散乱の原因となる結晶粒界が存在しないため、2つの条件をクリアしているのです。ちなみに、ガラス以外の無機固体ですと、この2つの条件を満たしているのは特殊なセラミックや単結晶のみです。
成形が容易にできる
ガラスは温度上昇によって連続的に変化する粘度を持ち合わせていますので、温度をうまく調整することで加工が容易に可能です。そのため吹いたりプレスしたり、さまざまな方法での加工ができるのです。
組成変化に強い
ガラスはかなりの組成変化を加えたとしてもほとんどの場合ガラスとして一定となります。そのため、ガラスに対してさまざまな物質を混入したとしてもガラスとして成立するのです。その特徴を活かしていることで、着色ガラスのように色付けができます。これは非晶質ならではと言える特徴でもあります。
化学的に安定している
ガラスの主成分であるSiO2によって、有機溶媒や酸に強いという性質を持っています。また、酸化物でもありますので高温に対しても安定しています。このことから長期間使用したとしても寸法が安定し、信頼性も高いのです。
ガラスの種類
透明や色付きなどの目に見える違いだけでなく、ガラスにはいくつかの種類があります。普段使用する上では意識することはありませんが、それぞれ特徴を活かした用途で利用されているのです。ここでは代表的な3種類についてご紹介しましょう。
酸化物ガラス
基本的に私たちが普段よく使用しているガラスは酸化物によって構成されており、ケイ酸塩ガラスと言います。その他にもシリカガラスなどの種類が含まれています。シリカガラスは代表的な特殊ガラスのことで、耐化学性や紫外線透過性などに優れているというのが特徴です。
非酸化物ガラス
カルコゲン化物ガラスやハロゲン化物ガラスなどのことです。いずれも赤外光の透過性に優れているため、赤外線透過材料などに用いられています。
光学ガラス
機能性ガラスの始まりと言える種類です。レンズを通過した光でわずかに発生する光路の差を克服するために作り出されたガラスです。
まとめ
ガラスは金属やセラミックとは異なる伝統的なものです。古くから愛用されてきているのは、その特徴的な構造と私たちの生活における利用用途がマッチしているからではないでしょうか。
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